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東京高等裁判所 昭和45年(う)1645号 判決

主文

本件控訴を棄却する。

理由

〈前略〉

論旨第一点(1)は、法令適用の誤りの主張であつて、刑法第二〇八条ノ二の兇器は、「性質上の兇器」に限定すべきであり、「用法上の兇器」は含まれないと解すべきであるのに、これらをすべて含むとしたばかりでなく、竹竿、コンクリート塊を用法上の兇器とし、角材、角柱とともに兇器と認定したのは、法令の適用を誤つたものであるというのである。

よつて考察すると、刑法第二〇八条ノ二にいう「兇器」は、人を殺傷すべき特性をもつ用具であつて、銃砲、刀剣類等その本来の性質上兇器であるもののほか、用法上人の殺傷に用いられるものとして社会通念上危険の感を抱かせる、いわゆる「用法上の兇器」を含むものと解すべきものであり、所論のコンクリート塊、竹竿、角材等も、その数量、集合の人数、態様、集合者の用法に関する意図によつては「用法上の兇器」というのを妨げないものであつて、原判決挙示の証拠によつて認められる事実関係に照し本件においてこれらを兇器と解した原判決には法令適用の誤りは存しない(最高裁第一小法廷決定昭和四四年(あ)一四五三号同四五年一二月三日参照)。論旨は理由がない。〈以下略〉

(津田正良 青柳文雄 菅間英男)

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